菅直人政権が、「事業仕分け」第3弾と、2011年度予算の「元気な日本復活特別枠」配分を決める「政策コンテスト」に取り組んでいる。「政治主導」による予算編成を目指すものだが、その手法の限界が見えてきている。

「事業仕分け」の限界

 「事業仕分け」第3弾では、天下りや無駄な事業を生む土壌になっていると指摘されてきた「特別会計(特会)」が仕分け対象となった。国土交通省所管の「社会資本整備事業特会」、経済産業省所管の「貿易再保険特会」、厚生労働省所管の「労働保険特会」などの「廃止」や「漁船再保険及び漁業共済保険特会」など農林水産省所管3特会の「統合」などが次々と決定した。

 しかし、特会を「廃止」して一般会計に戻しても、その事業そのものが廃止されるわけではない。例えば、貿易再保険特会を廃止しても、実質的には独立行政法人「日本貿易保険」が業務を行っている。農水省の3特会統合も中の勘定が別なら実際は同じである。

 また、蓮舫行政刷新相は「目標金額は示さない」として、仕分けの主眼が財源捻出よりも特会の透明性確保にあることを強調している。仕分けの予算削減効果は限定されているからだ。例えば、昨年11月の事業仕分け第1弾では、予算削減効果はわずか7000億円程度であった。

 官僚はさまざまな手を使って予算を復活させている。「廃止」や「見直し」の判定を受けながら別名称で事業を続けたり、廃止された複数の事業を統合して予算を増額要求したり、判定で示された予算の縮減幅を小さくしたり、廃止時期を延長して事業を存続させたりしている。

 実際、来年度予算要求では、厚労省の「健康増進対策費」、外務省の「日本国際問題研究所補助金」、総務省の「宝くじの販売促進・普及宣伝事業」、厚労省の「女性と仕事総合支援事業」など仕分けで廃止と決定された事業が、名前を変えてゾンビのようにゾロゾロと復活しているのだ。行政刷新会議は、特会の仕分けと別に、これらの「再仕分け」を実施するが、どれだけ官僚の抵抗を排除できるかは不透明だ。