「麺屋武蔵」2代目社長の矢都木二郎氏は、食品関連の包装資材メーカーからラーメン業界に飛び込んだ異端児だ。先代社長が20年前、大剣豪「宮本武蔵」の名にちなんでつけた「麺屋武蔵」は、3年前に矢都木氏に受け継がれた
ベーコンエッグ、クジラ、チョコレート、マグロ、日本酒、フルーツグラノーラ、ハンバーガー……。王道の「ら~麺」以外に、独自のコラボラーメンで注目を集め、麺屋武蔵ブランドを確立させていく矢部木氏に、そのブランド戦略とマネジメント論、そして今後のビジョンなどについて聞いた。(写真:保田敬介 文:田中利知)

麺屋武蔵2代目社長が語る、飲食という職業の面白さ

ラーメン屋の報酬体系や
労働環境の整備・向上が必要

──矢都木社長はラーメン屋という職業をどのように捉えていらっしゃいますか?

 ラーメンに限らずなんですが、飲食自体が「職種」として人気ないですよね。このままでは飲食で働いてくれる人も増えない。飲食で働いてることを誇りに思える仕事にしていかなければと思うのです。飲食という職業の魅力をちゃんと伝えていけば、この業界で働きたいと思ってくれる若者が増えていく。麺屋武蔵がその先駆けになりたいんです。

──飲食の魅力を高めるために、どのようなことが必要でしょうか?

 働く楽しさや、やり甲斐をアピールする事も大事ですが、まず土台となる報酬体系や労働環境の整備は絶対に必要です。麺屋武蔵では、安定した条件を保証できる正社員雇用を推進しています。働き手をもっと増やして、よりクリエイティブなことができるようにしたいですね。

 あとはブランディングが重要です。ブランドとはお客さまが麺屋武蔵にもつイメージ。ブランドが評価されれば、仕事の幅も広がります。実際に多くの企業さまとコラボレーションを実現できているのも、麺屋武蔵のブランドを評価いただいた結果と言えるでしょうね。

──お客はどんな人が中心ですか?

 サラリーマンが中心ですが、最近では海外出店で認知度が上がったこともあり、外国人のお客さまも増えてきました。もっと外国人のお客さまのストレスを軽減させてあげたいと思っているんです。なので、外国語対応の券売機に切り替えて食券を買いやすくしたり、日本語がしゃべれる外国人を接客要員として雇用したりしています。