経沢香保子氏はベビーシッター事業のどこに勝機を見出したか

松田 日本だとシッターが問題を起こした場合、それをメディアが報じてネガティブな印象が残りますよね。アメリカにいた頃、ベビーシッターによる盗難に遭ったというような話を聞いたことがありますが、シンガポールで私自身が利用した時は、まったく問題なんかなかった。印象論ばかりで話すのもなんですが、日本人のマジメな気質は快適で安全なシッターサービスをするのに向いていると思います。

経沢 財布を落としても、ちゃんと戻ってくる国ですからね。シッターさんは資格をもっていたり、お子さんが好きで、熱心で、バイリンガルの方もいたり、本当に素敵な方ばかりです。ある有名な起業家の方に助言されたのですが、「車のほうが事故率が高いのに、飛行機が落ちるのが怖いという人に飛行機を好きになってもらうのは難しい。ならば飛行機が好きになりそうな人に飛行機をもっと好きになってもらうようにしたほうがいい」と言われて納得しました。だから私も「ベビーシッターが嫌だ」という人に説得を試みてパワーを使うより、目の前の困っている人たちのお役に立てるようにしっかり努力をしていきたいと思いました。

松田 そうしているうちに良い評判がどんどん広がっていきますものね。

対立があっても対話を重ねる
経験を積んで解決重視に変化

松田 新しい本(「すべての女は、自由である。」)を読ませていただきました。「あえて敵をつくる必要はない」と説かれていたのが印象的でした。ベビーシッター論争や男女論争を典型例として、「正しい・正しくないではなく、お互いにどうしたいのか」と書かれているあたり、“丸くなった”と思いました(笑)。

経沢 お恥ずかしいです。昔の私は、たとえば、公太さんの選挙の時にも、ネットで新しいやり方を持ち込もうとして、事務所にいた議員秘書さんたちと、ぶつかったこともありましたね(苦笑)。

松田 いまの会社を起業直後、銀行口座の開設が認められなかったとか。でも、そこでめげずに、すぐにお知り合いに相談して同じ銀行の他の支店での開設にこぎつけられたそうですが、20代で起業されてから経験を積まれてフレキシブルになりましたか。

経沢 はい、大分フレキシブルになりました。また、何年も経営をやっていると、だんだん第三の手、第四の手を考えるようになります。「銀行は女性経営者にお金を簡単に融資してくれない」と怒っていても始まらない。都銀がダメなら、じゃ少し条件が緩い金融機関に行ってみようと行動する。あるいは、人づてで行く、などなど。あるプランで相手と対立しても、いろんな道を模索しながら対話をしていくと誰もがハッピーになる落としどころがあることに気づきます。そうした経験を重ねて私の人生にプラスに影響するようになりました。子どもや家族との関係ももっと良くなった気がします(笑)。