トヨタの「一人勝ち」が国内販売で際立つ理由4代目となる新型プリウスは8月まで9ヵ月連続国内販売ランキングトップを続けていた Photo:TOYOTA

軽自動車の不振が響く
日本国内の自動車販売

 2016年度上期(4~9月)新車総販売は、230万6282台で前年同期比1.0%減となり4年連続で前年実績を下回った。このうち、排気量660CC以上の登録車は154万6310台で4%増、軽自動車は75万9972台で9.8%減となり、登録車は回復傾向に対し、軽自動車の不振が全体を押し下げている。

 日本自動車工業会は、さきに2016年度(2016年4月~2017年3月)の国内販売見通しを当初予想より約41万台少ない484万5200台と下方修正して発表している。その理由は、来年4月に予定されていた消費増税の延期でその駆け込み需要が見込めなくなったからとしている。

 国内新車販売は、14年4月に実施された消費税引き上げと15年4月の軽自動車税引き上げのダブル増税が響いて市場の低迷が続いてきた。特に、軽自動車が軽自動車税増税で苦戦を強いられていたのに加え、三菱自動車工業の燃費改ざん問題で三菱自はもとより、OEM先である日産の軽自動車販売の停止も影響した。

 ただ、市場実態は自動車各社の新車投入を中心に回復傾向を示しており、登録車については、前年実績を上回る流れを示してきた。問題は軽自動車で一昨年までは国内新車市場全体を押し上げて全体の40%以上を占めたが、今上期の軽比率は33%と過去10年で最低水準にまで落ち込んだ。

 この結果、国内新車総市場におけるトヨタ1強が進む格好となっている。トヨタ自動車は昨年12月に投入した新型プリウスが今年に入り連続してダントツのベストセラーを続けており、トヨタブランドの前年実績を上回る販売の牽引力となっている。軽自動車販売でもトヨタはブランド別で唯一、前年実績を上回り、加えて高級車ブランドのレクサスも同様で国内市場において登録車だけではレクサスを加えると47.7%と5割に近い販売シェアを確保してきているのだ。

より顕著になっているトヨタの強さ
狭まる日本国内市場の位置づけ

 国内市場におけるトヨタの強さがより顕著になっている最近の動向の要因・背景を検証しつつ、自動車市場の回復が国内産業全体に活気をもたらすことができるのか、改めて分析してみた。

 自動車産業はグローバル化の波が進む中で自動車メーカー各社もグローバル戦略を進め、今や母国の日本国内市場の位置づけが狭まってきている。必然的にマーケットが大きく収益性の高い中国や米国への主体的な車種展開の一方で、母国市場の国内新型車投入への力が薄れがちになっている。

 日本国内のモータリゼーション進展期からバブル景気といわれた1990年頃までは、新車市場も右肩上がりで自動車各社も日本市場を念頭に置いた新車開発を展開していた。当時は、米国車・欧州車に追いつき、追い越せとの観点から日本国内市場で伸ばし、輸出も拡大していくとの戦略だった。