「子どもの貧困」状態のただなかにある親子たちは、「貧」「困」「貧困」にどのような影響を受けているのだろうか? どうすれば「貧困の連鎖」を食い止められるのだろうか? 調査・分析・提言を行う研究プロジェクトが、大阪市生野区で立ち上がった。

「貧困の連鎖」を食い止められるか?
大阪市生野区で立ち上がった民間研究会

「親子の貧困連鎖」に立ち向かう民間研究会が見た現実親子の貧困連鎖はなぜ立ちきれないのか。大阪で活動する民間プロジェクトの関係者が明かす

 大阪市では、生活保護率の高さが長年問題視されているが、区別の保護率には、最高の西成区(24.0%)から最低の福島区(1.2%)まで、大きな開きがある(大阪市Webページ参照)。保護率の高い地域には、「長年にわたって寄せ場であった」「スラムが存在した」など数多くの背景があり、それと無関係に貧困だけを解消することは不可能だ。

 大阪市の中でも、生活保護率が西成区(24.0%)・浪速区(8.3% )についで高い生野区(7.2% )で、2015年秋より民間の研究会「生野子育ち社会化研究会」が活動を開始している。コアメンバーの1人は、大阪子どもの貧困アクショングループ(NPO法人・CPAO)代表・徳丸ゆき子さんだ。

 子どもの貧困問題への徳丸さんとCPAOの取り組みは、たびたび本連載で紹介してきた。「子ども食堂」ブームより少し前の時期に「CPAOしょくどう」活動を開始(休止を経て2016年度より実質的に再開)、ついで小中学校の給食がない夏休みに子どもたちの「食」と生活を多様な側面から支える活動も行なってきた徳丸さんが、なぜ研究会活動をするのだろうか。

「『地域で子育て』『社会で子どもを見守る』という言葉が使われてきていますが、『社会で見守る』の具体的な方法は、あるようでありません。どうすることが『地域で子育て』や『社会で子どもを見守る』ことなのでしょうか? 私自身、まったくわかりません」(徳丸さん)

「地域」「社会」「子育て」「見守る」といった言葉は、ある種のマジックワードだ。それらの言葉自体を知らない人はいない。使えば、容易に「課題を共有した」「相互理解した」という気持ちになれる。実際にそうなっていれば言うことはないのだが、しばしばそうはならない。