>>(上)より続く

「生」が延びれば「性」も長寿化
80歳のAV女優も

 こうして、「高齢者だから」と優しく接せられる言動を都合よく解釈し、高齢男性が一方的に思いを募らせては迷惑行動に及び、トラブルを引き起こす事例は枚挙に暇がない。

 15年10月にも、都内で行きつけの喫茶店に勤める20代の女性ウエートレスに、「結婚してほしい」などと書いたラブレターの受け取りを拒否され、激高した78歳男が「ぶっ殺してやる!」と脅迫したとして逮捕された。

 『「ストーカー」は何を考えているか』の著者で、NPO法人ヒューマニティ理事長の小早川明子氏が言及する。

「『人生でやり残したことは恋愛だけ』と口にする高齢男性は大変多い。その恋愛願望の心底には、『まだプレーヤーとして現役でいたい』といった若さへの執着も潜んでいるのです」

 結婚適齢期が現代より格段に早かったこともあり、今の高齢世代ではいくつもの恋愛を経験してパートナーを選んだ人はまれだ。人生経験は豊富でも恋愛体験に乏しければ、自己コントロールを失って猛進をも招きかねない。

 しかも、現代では老いても性行為に及べる「バイアグラ」等のクスリが安価で入手可能とあれば、“老いらくの恋”への希望や、下半身も“生涯現役”を続ける夢は一層断ち切り難くなる。

「60代の男性は現役、70代はクスリ使ってハッスル。80過ぎだってちゃんと“ヤる”のよ。奥さんがいても『相手にならないから』と、スポーツクラブに行くふりをして利用する常連客も多い。だってシャワー浴びて帰っても怪しまれないでしょ」と笑うのは、71歳の現役ホテヘル嬢だ。実は今、性風俗業界で働く還暦過ぎの“超熟女”はまるで珍しくない。

「ほとんどは生活苦からこの仕事に飛び込むんだけどね。だって、手に職のない60過ぎの女が就ける仕事は清掃業か風俗しかないんだもの。ごくまれに好きでやってる人や、AVと掛け持ちしている人も交じるけど……」(同)

 AV業界でも“JK(熟年高齢者)”市場は活気づいており、還暦女優はおろか、古希モノのタイトルも続々リリースされている。

 制作プロデューサーが言う。

「近年では『若い男優とシてみたい』『人生の記念に』と、60歳以上の一般女性から問い合わせを受けることもしばしばです。近親相姦モノなど愛好家の支持層は厚く、流通量は少なくとも息は長い」

 ちなみに現下(2016年11月6日現在)、日本最高齢のAV女優の御年は81歳だ。「生」が長引けば、「性」も長寿化するのは必然の成り行きか。