増税は富裕層から一般へ

 大増税時代が幕を開けた。日本の財政をコントロールできる意思を世界に示さないと、財政破綻へまっしぐらとなるので、政府も必死である。私は税収増を狙うなら、納税マイレージを導入することを提言する。政府が無理強いしなくても納税者が自ら納めたくなるような太陽政策である。

 税率アップや控除停止で、北風を吹かせれば吹かせるほど納税意欲は落ち、節税と経済活動不振で、税収は逆に低迷すると思う。

 政府はまずは富裕層を狙って増税を始めている。富裕層の税額控除を減らし事実上累進性を高めている。しかし、わが国において年収1500万円以上の人口は2%以下なので、ここからの税収アップは知れている。むしろこれは富裕層をいけにえにすることによる富裕層以外へのガス抜きであると考える。本格的な税収増のための増税は人口98%以上を占める富裕層以外の人たちを対象にせねばならない。だから、まずはその人たちのガス抜きが必要なのだ。

 政府の危機感の背景にあるのは、昨年激減した法人税収と所得税収がある。昨年の法人税収は約6兆円、所得税収は約13兆円で、各々ほぼ30年前の水準に落ち込んでいる。この環境下で最も安定している税収は消費税である。この10年間の消費税収はほぼ毎年10兆円で横ばいである。しかしながら、継続して物価が下落する長期デフレの中で、消費財の価格アップにつながる消費税増税をしてしまえば、駆け込み需要効果を除き、消費はさらに低迷し、下手をすれば、税収が落ち込む可能性がある。どの税を上げていいやら手詰まり感があるのだ。