前回の第1回では、2012年卒者の採用見通しについて述べた。

 今回のテーマは、前回、約束した新卒採用において、バブル経済崩壊後の景気低迷期と、近年の景気低迷期の状況で、異なる点についてである。それは「企業の採用基準が厳しくなっていることでしょ」と、思われるかもしれないが、今日の話はそこではない。

 今回のテーマは「この景況感の中で、なぜ企業は新卒採用を行うのか?」、また「採用を抑制すると、リスクになるのか?」についてである。

大卒者の新卒採用人数を決める際
企業が考慮する項目は何か

景気低迷期でもなぜ企業は新卒採用を続けるか?<br />バブル経済崩壊後とは大きく違う<br />近年の新卒回帰の潮流とその背景を探る

 企業が、大学院生を含む大卒者の新卒採用の採用人数を決めるにあたり、景気が影響していることは周知の如くである。

 何を考慮して採用人数を決めているかについて、少し数字をベースに分析してみよう。図表1にあるように、景気動向や自社の売上や利益動向のほか、人材の過不足はもちろんのこと、新卒採用における中長期的ポリシーや従業員の年齢構成なども、考慮していることがわかる。