葛飾区には2つのギネス記録がある。まずは『男はつらいよ』。1人の俳優が演じた最も長い映画シリーズだ。もう1つは『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。35年間にわたる少年雑誌の最長連載記録を、今も更新中だ。

 寅さんの柴又と両さんの亀有。しかし、これ以外の葛飾区と言われると、ちょっと頭をひねってしまうのではないのだろうか。イメージが濃いようで、薄いようで……。100を数える区内の商店街も、そんな狭間の中にある。

『寅さん』『両さん』の元気な街に
販売効率の低迷で黄信号が点滅

 葛飾区の面積は23区中第7位、人口は9位。対して商店街数は7位、小売店舗数は11位、専門店数は10位。規模と比べてほぼ順当な範囲内にある。しかし、後が続かない。全小売店の年間販売額は17位。専門店販売額も17位。食料品専門店の販売額は15位と、下位に沈み込んでしまう。

 もっと深刻なのは、販売効率の低さだ。小売業では、売場面積1㎡当たりの販売額を「販売効率」と呼び、営業の効率性を測る指標に用いる。葛飾区は、その販売効率が23区で一番低い。

葛飾区の商店街――23区中最も低い販売効率を、『寅さん』『両さん』人気で盛り返せるか?

 業態別に見ても、販売効率の低さに変わりはない。専門店22位、食料品専門店、食品スーパー、大型店はいずれも18位。コンビニも、販売効率のデータが公表されている22区のうち最下位である。

 もともと葛飾区は、販売効率があまり高くなかった。それでも5年前は18位だったから、一気に5位もランクが下がっている。まさに、黄信号点滅状態の感がある。

 その理由はどこにあるのだろうか。