東レ社長 日覺昭廣<br />炭素繊維が成長を牽引<br />20年度売上高3兆円目指すPhoto by Toshiaki Usami

──先頃策定した2011~13年度の中期経営課題と、20年度までの長期経営ビジョンの方向性を聞かせてほしい。

 基本的な方向性は、08年のリーマンショックでいったん凍結を余儀なくされた前中期経営課題(06~10年度)と変わらない。1000億円強のコスト削減など、2年間の緊急対策で危機は乗り切った。再び成長路線へ舵を切る。

 ただし、前中期経営課題と違う点が二つある。一つは、「基盤」事業と位置づけていた繊維やプラスチック事業を、「基幹」事業とした点だ。従来これらの事業は、成長は見込めないが安定的な収益を上げる「基盤」事業と見なしていた。だが、中国など新興国市場を見れば明らかなように、繊維やプラスチックなどはまだまだ市場が大きく成長する余地がある。そこで、今後も会社を牽引し拡大していく「基幹」事業として再定義した。設備投資も、情報通信材料分野に次いで大きな投資をしていく。計画の上ブレも期待できるだろう。