メ-カ-が生産した財を直接消費者に販売することは稀で、多くの場合、卸や小売などの流通業者を介して販売している。今回は、消費者の情報収集や買物行動を踏まえて、チャネルをいかに構築するかについて議論する。

 商品の購入に際して、消費者は「何を、どこで、いくらで買うか」を決めるが、彼らは財の存在や入手経路(どこで売っているか)、さらには品質や属性について十分な情報を持っているわけではない。財の存在や入手経路を知らなければ、当然、買うことはできない。

「経験財」と「探索財」

 商品の属性(品質)について十分な情報を持っていない場合、消費者は、購入に先立って情報を収集する。ファッション性の高い衣服を買う際には、色や柄だけではなく、実際に試着して着心地を確かめる。家電製品や自動車を購入する場合も同様で、事前に商品属性を比較検討する。これらの商品は属性が多様で、それによって消費者の満足が大きく異なるからである。

 一方、(新発売の)インスタントラ-メンを買う際には、購入前に、味や栄養価を調べることはほとんどない。実際、食べてみなければ、味は分からない。このように、食品や日用品などは、購入前にいくつかの品目を詳細に比較検討するのではなく、買って消費する過程で属性を知り、品質を判断している。

 なぜ、購入前に商品属性を調べないのか? その理由の1つは、これらの商品は購買頻度が高く、過去の消費経験から品質を知っているからである。また、消費者の好みが似ており、使用経験を持つ他の人々からの口コミで、属性情報を得ることができる。さらに、商品が規格化・標準化されており、多少の当たり外れはあるものの、どれを買っても満足に大きな差がないからである。

 赤い服を好きな人も、黄色の服を好きな人もいれば、赤、橙、黄などの多様な属性の服が売られるであろう。一方、ほとんどの人が黄色を好むのであれば、赤や橙の服は販売されず、標準化が進んで属性の多様性が減り、どれを買っても満足に大きな差は無くなろう。