目黒区にはおよそ70の商店街がある。そう聞いても、自由が丘のイメージで頭の中は一杯になってしまう。なるほど、自由が丘の情報発信力は強烈だ。おしゃれという月並みな言葉だけでは言い表せない洗練された個性。同時にそれは、ちょっと気取った澄まし屋のイメージでもある。

 目黒区の商店街は、大なり小なり「ミニ自由が丘」化しているのだろうか。それとも、自由が丘とは一味違う、もう1つの目黒らしさがあるのだろうか。

目黒区は有数の消費流出区?
飲食料品店の数は23区で最低

 所得水準が港、千代田、渋谷の各区に次いで4番目に高い目黒区。後背マーケットの蓄積は厚い。だが、渋谷に近すぎる。目黒区は、23区の中でも有数の消費流出区である。

 だから、商業の集積は大きくない。小売店舗数は21位で、専門店数も食料品専門店数も21位、大型店数も21位、販売額も18~20位と、下位に甘んじている。

 では、買回品店と最寄品店はどちらが多いのだろうか。それぞれの代表として、衣料品店(靴やかばんなどの身の回り品を含む)と、飲食料品店の数を比べてみよう。

 衣料品店の数は11位。自由が丘を擁するファッショナブルタウンの面目を保つ数値だ。一方、飲食料品店は23位、八百屋、肉屋は15位とやや健闘しているものの、魚屋は21位、酒屋と菓子屋は22位、惣菜屋は23位。住生活の分野でも、金物屋22位、文房具屋22位、薬屋23位。商店街業種はおしなべて分が悪い。

目黒区の商店街――「ミニ自由が丘」化が進むママ友の街が、いまいち物足りない理由

 東横線の各駅前に東急ストアがある目黒区は、中堅食品スーパーの力が強い。食品スーパーの1店当たりの販売額は4位。このため、1K㎡当たりの食品スーパーの数は12位ながら、1K㎡当たりの販売額は3位の高さである。