フリーライダー問題を解決するための
2つの立場と、見過ごされてきた問題

 これまで筆者らが述べてきたフリーライダーに対する解決策は、大き分けて2つある。個人的な解決と組織的な解決だ。

 個人的な解決は「自分がフリーライダーにならないように、何ができるか」を考えることであり、拙著『フリーライダー――あなたの隣のただのり社員』の第5章で詳しく述べているし、先週述べた40代からの生き方もそれに該当する。

 しかし、タダ乗り社員が跋扈する組織の中で、1人だけ自分を律して真面目に働いていてもフリーライダー問題は解決しない。やはり、個人の心がけだけではなく、組織的な解決が必要となる。

 組織的な解決は、組織の仕組みや制度としてフリーライダー問題の解決を図ることである。その方法は、さらに次の2種類に分けられる。

・タダ乗り社員に何らかのペナルティを課す
・そもそも、タダ乗りする者を組織に入れない

 社会科学では、この2つについて様々な研究が行なわれてきた。連載第21回で述べたシャピロ-スティグリッツモデルも、その1つである。それ以外にも、理論研究、実証研究を含め、1000を超える研究の蓄積がある。

 しかし、これらの研究のほとんどは、ある重要な点を無視している。シャピロースティグリッツモデルも例外ではない。

 それは「どうやってフリーライダーを見分けるか」という問題だ。