準強姦事件、8人の被害経緯に学ぶ「お酒と油断」の危険性(上)お酒に酔っている女性は「このままついていくと危ないかも」と気づかないと、取り返しのつかないことになります(写真はイメージです)

 無理やりお酒を飲ませ、酩酊状態で抵抗できない女性に対して力ずくで非合意の性交渉を強要する…そんな最低最悪な事件を慶応義塾大学そして千葉大学の学生が起こしたことはすでに報じられており、また前回は加害男性に責任を取らせた相談実例を紹介しました。警察庁によると強姦の認知件数(平成26年)は1250件ですが、これらは氷山の一角に過ぎません。

 性犯罪の被害女性がセカンドレイプ(責任を取らせる過程で、さらに第三者に傷つけられる)を恐れて泣き寝入りするケースが圧倒的多数なので、実際の被害件数は何倍にも上ると思われます。前述の千葉大、慶応大の報道でも被害女性の証言が伝わってくることはありません。加害男性の一方的な言い分だけが表に出てくるので、「そんなの被害者の自己責任でしょ!」と罵る人が必ず出てきます。

 そんな無責任な傍観者を黙らせるべく、私のところに相談に来た被害女性55人の生声を紹介しましょう。今回、取り上げる55人は準強姦の被害者で「抵抗できなかった理由」は主に飲酒による酩酊状態で、妊娠していないケースに絞りました(酩酊以外の理由、妊娠している場合は除外)。

年収の少ない女性の被害多数
女性に謝罪をした男性は少数

 具体的には(1)被害者の年齢、(2)年収、(3)相手の年収、(4)謝罪の有無、そして(5)希望の補償額(慰謝料、給与補償、内科、診療内科、産婦人科の医療費など)を抽出しました(いずれも相談当時)。

 まず年収ですが、男性の平均は855万円、女性は148万円なので年収格差は約6倍。ワーキングプアの女性が高給取り男の「性欲の餌食」になる、という構図が見て取れます。次に謝罪の有無ですが、女性に謝罪した男性は11人(20%)に留まり、44人(80%)は謝罪していないので、男性の8割は悪いと思っていないのでしょう。