ファミリーマートが“自発的”企業へと脱皮し、強くなりつつある。「業界三番手、でも中身は三流だった」――。親会社の伊藤忠商事から来た上田準二社長は、赴任当時を振り返り、こう語る。成長が踊り場を迎えたコンビニエンスストア業界で、上田社長はファミマの何を変えたのか。“上田改革”の真髄を本人が語る。(聞き手/『週刊ダイヤモンド』編集部 新井美江子)

上田準二社長

 業界三番手なんて言ってましたけどね、中身は三流だったんですよ。店がキレイでない、売るべき商品が揃っていない、接客態度がよろしくない──。

 弁当専門店やスーパーなど、異業種を交えた大競争時代がきているのに、加盟店に言われるがまま。真正面から向き合い、あるべき姿を目指そうとしない。それじゃもう勝ち残れないでしょ。

 だから、その体質を一変しようと改革を断行したんです。

 (親会社の)商社から来た僕に、社員は内心反発がありますよね。しかし、僕は半年間SVと現場を回り、そこで何が起きているのか、何を直したらいいのかを見てきた。机上の空論でないということがわかったようです。

 現場には「何をやってもいい」と言いました。現場裁量を“認めている”のではない。現場裁量で“やれ”と。もはや、平均的なことをやっているだけではダメ。地域特性を見て、現場がやりたいことを自ら考え、行動すればいい。

 ただし、コンプライアンスや安心・安全を守るのは絶対です。事前、事後の報告をきちんとして、成功事例は広めていく。権限委譲とは、現場と常に同じ夢と現実を見ることだと思っています。