このうち、送骨によるものはサービスを開始した15年に114件。16年はすでに67件で昨年を上回りそうだ。

 田野は小さいころから、郷里で墓参りに連れていかれていた。今も1年に1回、帰郷して墓参りする。でも、無信仰で「人間は細胞でできていて、焼いたら無になる」と考えており、墓に特別な思い入れはない。

 郷里の寺は観音像を建てる等々、何かにつけて金銭を無心してくるので、むしろ嫌気が差している。

 寺院業界は檀家離れやお布施の減少による収入減などで生き残りが厳しい。そんな中で金もうけに長け、高級車を乗り回したり、高級時計を着けて法事に来る僧が相変わらずいる。職業化した僧に、現代人は法力を感じられなくなっている。

 不透明な戒名代や法事費用なども現代人の感覚に合わない。そうした変化を捉えて、明朗会計で低料金の葬儀プランを販売する葬儀仲介会社が勢力を強めている。

 その一つであるみんれびは、僧侶手配サービス「お坊さん便」をインターネット通販大手アマゾンで販売して話題を呼んだ。お布施は定額表示。葬儀や法事の際は檀家でなくても、クリックで注文すれば僧侶が来てくれる。

 週刊ダイヤモンド1万人調査では、墓や葬式に対する伝統的な意識が薄れ、選択肢は多様化し、自由度は高まり、そして簡素化に向かっていることがうかがえる。そこには家族形態の変化の影響も大きい。

 過去1年以内に墓参りした人は67.0%。過半が墓参りしている一方で、58.4%は祖父母の名前を全員は言えない。

 墓参りする対象も古来の「家系代々の先祖」は26.6%にとどまり、「自分の親など特定の顔の見える故人」25.0%とほぼ同じ。旧来の家意識が薄れている。

 自分の墓や埋葬法では、2割が散骨や樹木葬など自然に返す「自然葬」を希望。従来の墓石のある墓が絶対ではなくなっている。