消費者が情報を
「スルー」する3パターン

 前回は、消費者が急激に増大する情報流通量の下、限られた自分の情報処理能力を有効に使うために “情報バリアー”を張って自分に関係の薄い情報と接触しないで済むようにする術を身につけ、企業が広告として“伝えようとする”情報の多くは今やノイズとみなされ、 「スルー」されてしまっているということについてお話しました。

 では消費者は、実際にどのように情報を「スルー」しているのでしょうか? それには大きく3つのパターンがあります。

   無視する

  ② 切り捨てる

  ③ 放置する

 ①の「無視する」は、気づかないことも含めて、その情報の存在を認識しないということです。最近の消費者は以前に比べ、無意識のうちに広告を無視する傾向が強くなっています。

 例えば貴方は今日見たどのインターネット広告が一番印象に残っていますか? この質問には答えられない人も少なくないのではないでしょうか。テレビや新聞、雑誌などのアナログメディアは、ユーザーに比較的受動モードで“ながら的”に何となく接触されています。そしてテレビでは、リアルタイムに視聴者へ強制的に広告を見せることは、そう難しいことではありません。新聞、雑誌等の紙メディアも広告を飛ばして読もうとしても、物理的にはかなりの確率で広告が目に入ってきます。

 しかし、小さなPCのモニターや携帯電話の画面での、バナー広告などのディスプレイ型のネット広告で伝えられる情報量は限定的で、ある程度クリックという行為を伴う必要があります。2009年の米コムスコア社の調査では、ネット広告をクリックしたことのあるユーザーは全体の16%しかおらず、しかも8%のユーザーが全クリックの85%を占めているという結果がでています。ネットにおいては、アナログメディアよりも発信した情報が、無視されやすい傾向があるのです。

保存された情報も
やがて鮮度を失う

 ②の「切り捨てる」は、一度はその情報を認識はするが、即座に不要と判断して捨て去るということです。メールマガジンのタイトルによっては、開封することなくダイレクトにゴミ箱へ送ってしまうことがあるのも、録画したテレビ番組を見ていてCMになった途端スキップしてしまうのも、その情報を不要と判断して切り捨てているということです。クリック一つで情報を簡単に大量の情報を消去することができるのもネットの特性です。