あなたは、職場の先輩社員から「飲みに行こう」と誘われたら、何となく「ご馳走してくれるかも」と淡い期待を抱きますか。それとも、「当然、割り勘だろう」と考えていますか。

 最近は職場でも「割り勘」文化が広がりつつありますが、相変わらず先輩が後輩を誘ったら「全額払う」のが“暗黙のルール”と考える職場も未だにたくさんあります。

 今回は、そんな職場ごとの「支払いルール」の違いに戸惑う、ある転職組社員の悩みをご紹介していきましょう。

転職して数ヵ月後、初めてのお誘い
先輩の馴染みの店で飲むことに…

 医療機器を販売する商社に転職して数ヵ月が経ったGさん(26歳)。ようやく職場の雰囲気に慣れて、仕事も順調にこなせるようになってきました。

 さて、資料の作成で残業していた週末。職場には数名の同僚が残って仕事をしていました。Gさんの資料作成が終了したのは19時過ぎ。

「やっと、終わった。じゃ、パソコンを切って帰るとするか」

 などと退社の準備をしていると、同じ職場の先輩社員Sさんから声がかかりました。

「どうだい。軽く1杯飲んでから帰らないか?自宅は何処だっけ?遠いのかな」

 よっぽど自宅が遠方でなければ、1時間くらい飲んでも終電がなくなる時刻ではありません。Sさんとは自分の歓迎会で軽く話をしたくらいだったので、お互いの自己紹介も兼ねたいい機会と考えたGさんは、

「是非ともご一緒させてください」

 と、快諾して5分後にはオフィスを出ました。

 さて、Gさんは転職してから職場の周辺で飲みに行く機会がほとんどありませんでした。それゆえ、これから軽く1杯飲んでいけるような店を1つも知りません。やや戸惑った顔をしていると、

「まだ、転職して間もないから周辺の店のことなんてわからないよな。任せてくれ。俺のよく行く居酒屋に行こう」

 Sさんが先導して、オフィスから歩いて10分くらいのところにある居酒屋に向かいました。