カフェ業界に「第4の波」到来
郊外に拡大する過当競争の行方

コーヒー戦国時代に台頭する「郊外型カフェ」の最強集客術戦国時代の様相を呈するカフェ業界に参入する郊外型カフェには、どんな勝算があるのか。女性を中心に人気を集める店舗を実態調査

「サードウェーブ系のカフェにいると、ちょっと無理しておしゃれなところにいるという意識がある。コメダはそれがない。特別なおいしさもお得感もないけれど、誰が行っても歓迎される感じが好き」

 こう語るのは、あるコメダファンの女性だ。

 今、郊外の幹線道路上にいわゆる“ロードサイド型”のコーヒーショップが続々と出店している。カフェ業界はまさに戦国時代の様相を呈しており、スターバックス・コーヒーを筆頭に、街中に立地するセルフサービス方式のチェーン店が集客にしのぎを削っている。一方、コンビニ各社も軒並み自社ブランドのコーヒーに参入しており、街はコーヒーを提供する店で溢れ返っている印象だ。

 サードウェーブ(第3の波)と言えば、ブルーボトルコーヒーを代表とする、産地などを重視する米国発の流れだ。カフェの歴史をさかのぼれば、ファーストウェーブ(第1の波)がインスタントコーヒーの普及、セカンドウェーブ(第2の波)がスターバックス・タリーズなど「シアトル系カフェ」の流行とされている。

コーヒー戦国時代に台頭する「郊外型カフェ」の最強集客術コメダ珈琲(左)と星乃珈琲店(右)が提供する人気のパンケーキ
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 コメダ珈琲店に代表される郊外型カフェは、長く日本の喫茶店文化として根づいてきたが、ここにきてぐっと大きな第4の波になりそうな気配を見せている。「ゆったりと落ち着いた空間」「一杯ずつ丁寧に淹れるハンドドリップ・コーヒー」などをウリにし、セカンドウェーブ以降、狭いスペースで隣のお客と肩を寄せ合いながらコーヒーをすすることに抵抗感を感じていた女性客を中心に、人気を集めている。

 特にコメダの勢いはすさまじく、10月には宮崎と長崎に、11月には鹿児島に初出店と、開店ラッシュの勢いはとどまらない。2016年だけで78店舗(12月26日時点)も新規オープンしている。

 ドトール・日レスホールディングスの星乃珈琲店、銀座ルノアールのミヤマ珈琲、トリドールのコナズ珈琲やクローバー珈琲焙煎所など、競合他社も続々とこれに続く。戦いの舞台を郊外に移したカフェは、すでにそこでも過当競争を引き起こしつつある。