◇脳を効率よく鍛える

 走ることで脳のはたらきを活性化させたいのであれば、基本となる運動強度を守ること以外にも、もう一工夫加えていきたい。

たとえば、新しいルートを見つけたり、道の途中にある建物を覚えたりしながら、自分のランニングルートマップを作ると、記憶力の向上に役立つ。また、走りながらすれ違う人の顔の特徴を観察し覚えるというトレーニングも効果的だろう。体を動かすと記憶力が上がるため、勉強は走ったあとにするのがお薦めだ。

 集中力を鍛えたいのであれば、走りながらひとりじゃんけんをするなど、2つのことを同時に行う「デュアルタスク・トレーニング」を行なうといい。そうすれば、前頭葉が活性化される。このトレーニングは、ランニングにかぎらず、ウォーキングや階段昇降と組み合わせやすいので、日常生活にも取り入れやすいだろう。

 一時的に発想力を高める走り方もある。駆け足や階段ダッシュなどの、運動強度90%の走りを3~5分行ったり、時間があれば軽く散歩やジョギングをして体を動かしたりすると、じっと机に向かって動かずにいるよりも発想力が高まりやすい。

 また、日ごろのランニングの際に、「今日は看板に着目してみよう」などとテーマを決めて走ってみると、普段気にしていなかったものにも目が行くようになり、新たな発見もできるだろう。

 思考力を高めるには、走った後にストレッチなどの整理運動が欠かせない。クールダウンすることで、筋肉内の血液が脳にもめぐり、頭がすっきりするようになる。ほかにも、走っている最中に目に入る景色について、「なぜだろう?」と考えてみるのも、思考力を高めるために役立つはずだ。

 判断力を鍛えるためには、ここまで紹介してきた記憶力、集中力、発想力、思考力を鍛える走り方を実践することが近道となる。特に、情報収集しながら走るという癖は重要だ。状況判断力が磨かれると同時に、引き出しやネタが多くなる。

 また、マラソン大会に出るという目標をもつこともトレーニングとなる。判断力には「計画性」や「自信」が欠かせない。目標を立てて実行し、成功体験を味わうことで、自信が生まれ、判断力の強化につながるというわけだ。

◇走れないときにも工夫を

 数多くのメリットがあるランニングだが、忙しくてなかなかできないこともある。そういう場合は、「インターバル速歩」がおすすめだ。「大股でできるだけ速く歩く」のを3分間、「じゃんけんをしながら大股でゆっくり歩く」のを3分間、交互に行いながら、30分間ほど歩く。すると、前頭葉と海馬が同時に鍛えられる。

 負荷が軽いため、日常生活にも取り入れやすいお得なエクササイズだと言えるだろう。普段あまり運動をしない人や、体力がない人でも簡単に続けられるはずだ。