陥りがちな思考の罠に迫る「カイゼン!思考力」。今回は、同意されている前提への反論を取り上げる。

――問題です

 以下のBさんの考え方の問題点は何か。

A「僕は夫婦別姓選択制に賛成だな」

B「なぜ?」

A「世の中には、自分の姓を残したいのにそれができない女性がたくさんいる。それは大きな問題だ」

B「確かに事実はそうだ。たしか比率で言うと、事実婚を除いた場合、夫の姓を選ぶ夫婦の比率はほとんど100%だったかな」

A「およそ98%だ。21世紀にもなって、この数字の偏りはやはり無視できないだろう。女性の方に負担がかかり過ぎている」

B「しかし、現在の法律では、どちらの姓を選ぶかは夫婦に委ねられているのだから、決して法の下での男女平等に反してはいないと思うよ」

A「だから、その点に関して問題だと言っているわけではいないよ」

B「えっ。そう言っているように聞こえたけど…」