FTAに見込みはあるか

ロンドンのランカスター・ハウスで演説する同首相。代表撮影(2017年 ロイター)

 だが、FTA合意に至るプロセスはリスクに満ちている。メイ首相は、EUと英国の今後の関係について2年以内に合意し、その後に導入期間を設けたいと発言した。

 しかし、自由貿易協定の交渉には通常、2年よりもはるかに長い時間がかかる。カナダとEU間のFTAの場合、予想される発効時期までに7年かかる見込みだ。

「合意形成をめぐる不確実な状態が長く続けば、経済にとって大きな問題となるが、これを克服するために消費者によけいな出費を求めるわけにはいかない」と英有力シンクタンク、国立経済社会研究所のジャグジット・チャダ所長は語る。

 最近の英国経済にとっては、貿易や投資といった他の要因が伸び悩むなかで、個人消費が主なけん引役となっている。

 また、英国経済の主力となっているサービス部門における貿易障壁の撤廃を求めることも、困難なものとなる可能性が高い。もっとも、ブレグジット支持者は、EU内部でもすでに障壁が存在していると主張しているが。

 また、英シンクタンク、センター・フォー・ユーロピアン・リフォーム(CER)によれば、貿易協定が充実すればするほど、英国が遵守しなければならないEU規制も増えてくるという。

 FTAという選択肢に賛同する人々は、これによって、ほぼ従来どおりにEUとの貿易を維持しつつ、単一国としては最大の貿易相手国である米国や、ブラジル、インドといった新興市場諸国とのあいだで、じかに貿易協定を締結する自由も与えられる、と主張している。

 さらにブレグジット支持者は、EUに対する英国貿易は、製品分野において、2016年11月に過去最大となる85億9000万ポンド(約7400億円)の大幅な赤字となっていると指摘。EUとしても、これだけの市場を切り捨てる余裕はあるまい、と主張する。