究極の選択

ロンドンのランカスター・ハウスで演説する同首相。代表撮影(2017年 ロイター)

 メイ首相は、こうした貿易状況が交渉材料になると考えているようだ。演説では、不利な貿易協定であれば、ない方がましだと述べており、これは、各国の関税上限を定める世界貿易機構(WTO)のルールに訴える可能性があることを実質的に認めたに等しい。

 こうしたシナリオになれば、英国は、金融など規制の厳しい部門を中心に、サービス分野における障壁に直面することになろう。これは「非常に危険な道」だとJPモルガンのエコノミスト、マルコム・バー氏は懸念する。

「成功する交渉戦略には、野心的な目標と、確実な落とし所があるものだ。メイ首相に前者があるのは確かだが、後者を用意しているかどうかは疑問だ」とバー氏は顧客向けの書簡で記している。

 確かに、メイ首相が「国際協調主義の英国」というイメージを掲げる一方で、ハモンド財務相は英国議会に対し、EUとの包括的なFTAが実現しないようであれば、英国は強硬姿勢を取り、法人税の大幅引き下げで対抗する可能性もあると語っている。

「(ブレグジットに向けた妥当な条件が得られないとしても)英国民は、単に屈服して今までより貧しくなることを甘受するつもりはない」とハモンド氏は述べた。「わが国の競争力を維持し、生活水準を守るために、できることは何でもやる」

(Andy Bruce 翻訳:エァクレーレン)