ヘッジ解消の影響も

 米商品先物取引委員会(CFTC)が20日発表したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(1月17日までの1週間)によると、円の売り越しは7万7830枚(前の週は7万9839枚)と依然、高水準だ。

 ただ、スポットのドル/円が年明け後、118円台から一時112円台に下落した間に、RRのドル・プット・オーバーの傾き拡大は限定的にとどまった。

 この動きについて、みずほ銀行の国際為替部次長、田中誠一氏は「円ショートのうち、オプションで円高リスクをヘッジしていた投機色の強いポジションが減ったことで、ヘッジの解消が進んだ可能性もある」と指摘する。

「トランプ相場」の第1ステージの円安局面では、円高方向へのリスクに備えるためのオプションでヘッジする動きがあったが、実際に円高に進んだため、ヘッジの必要がなくなった。円高が進めば利益が出るオプションの解消は、RRではドル・プット・オーバーの拡大を抑制する方向に働く。

 投機筋による円ショートの積み残し分は、リスクに対してニュートラルになっている可能性があり、目先のイベントでは「投機主導の過度な反応が出るリスクは和らいでいると見ていいのではないか」と田中氏はみる。

米経済の改善期待

 より短い期間では「トランプ大統領の不規則発言への警戒は怠れない」(別の国内金融機関)との声も根強い。

 1ヵ月物のRRはドル・プット・オーバーが16年11月以来の小ささとなる0.31%付近に、1週間物RRも16年11月以来の小ささとなる0.45%付近に、それぞれ縮小し、昨年末から続いたもみ合いから抜け出しつつあるが、トランプ相場を通じて縮小基調が続いてきた1年物に比べれば、まだ方向感が出ているとまではいえない。

 それでもじわりと1ヵ月物や1週間物でもドル・プット・オーバーが縮んでいるのは、来週以降に米国で米連邦公開市場委員会(FOMC)やISM製造業指数、米雇用統計など、重要イベントが続くことが背景にありそうだ。

 米経済指標はこのところ、良好な数字が続いている上、FRB高官らからはタカ派寄りの発言が目立つ。「この期間をカバーする1週間物のオプションでは、ドル買いサイドのポジションをつくる動きが出てもおかしくない」(あおぞら銀行の諸我氏)とみられている。

(平田紀之 編集:伊賀大記)