東日本大震災が発生して2週間あまりが経った。3月11日以来、日に日に明らかになってくる被害の甚大さに日本中が心を痛め、いまだ先の見えない不安に社会が包まれている。今回の震災により改めてスポットライトが当てられたのは、本来、日本人が持っている「助け合いの精神」だ。それらがツイッターなどを通して可視化され、さらに善意の増幅作用を生んでいく現象が随所で見られた。一方で、助け合いの精神を真の意味で復興への有効な足がかりにするためには、課題も多い。我々は今後、どんな目線で未曾有の災害と向かい合うべきなのか。(取材・文/プレスラボ・宮崎智之)

善意の増幅作用は有効に機能するか?
東日本大震災が人々の心に与えた影響

 3月11日以降とそれ以前とでは、別の日常を送っているような感覚がある。東日本大震災で身内が亡くなられた方や、帰る家を失った方の苦しみはもちろんだが、あまりの被害の甚大さに日本中の人が心に傷を負った。

 直接の被災者ではない筆者の周りでも、震災後は「仕事をする気が起きない」「現実に戻れない」などと言う人が多く、過剰な自粛意識から家に閉じこもり、精神的に弊労し切ってしまったという友人もいた。

 まさに、「声を失った」という感覚だろうか。大地震発生直後の週末に予定されていたイベントは軒並み中止となり、外食をすることでさえ「不謹慎なのではないか」と自重してしまうほどだった。そのくらい、今回の震災が人々の心に与えた影響は大きい。

 しかし、悲しみに暮れ、歩みを止めているだけではダメだということは、被害の大きさが日に日に明らかになるにつれ、誰の目から見ても明白なものとなっていった。人々は、「自分たちにできること」を模索し始めた。

 街頭に立ち募金箱を持って声を張り上げる人や、物資を被災地に届けようと考える人が相次いだ。寒い日でも暖房を切り、節電に努めている人も多い。自粛気味だった催し事も、チャリティイベントに衣替えして、徐々に開催されるようになってきた。