>>(上)より続く

 千夏さんと彼が付き合い始めた当時、彼は39歳。もうすぐ不惑だというのに未だに独身では、周囲から半人前の烙印を押され、年下の部下に示しがつかず、出世コースから外れることを気にしていたのでしょう。だからこそ千夏さんと付き合い始めて間もない頃から「早く結婚したい、子どもが欲しい」と言い続けたのです。彼は千夏さんのことを「出世の道具」としか思っておらず、単なる道具に対する愛情は薄いので、気にかけることはなかったのでしょう。

「だから妊娠してから私のことを抱かなかったのではないでしょうか。最初から他に遊べる女がいたんでしょうが…」

 千夏さんは自分のことを冷静に客観視できるほど気持ちの整理ができたようですが、彼がモラハラや不倫、逆ギレをせず、当たり前のことを当たり前にしていれば計画通りだったのでしょう。

 結局のところ、妊娠中の妻に逃げられ、産後に別れを切り出され、離婚後に養育費や慰謝料を支払っているのだから、彼は社内で「結婚不適格者」のレッテルを貼られてもおかしくありません。このように彼の計画が裏目に出たのは完全に自業自得で、彼にとって何より大事な「出世コース」が台無しになったことで、千夏さんは少しばかり溜飲を下げたようです。

妻が隣で寝てるのに
夫がスマホで裸の女性と“密会”

 次は一時的に「妊娠中の不倫」を許したものの、結局、数年後に離婚してしまった夫婦の話です。なぜ一度は「やり直そう」と決めたのに、途中で気が変わってしまったのでしょうか?

「妊娠20週目のことでした。夫が夜中に携帯を触っていることに気がついたんです!」

 妊娠中の不倫という悪しき記憶を思い出しながら語るのは谷口美香さん(36歳)。美香さんは今まで寝つきが良い方で朝まで目を覚ますことはなかったのですが、妊娠の影響で寝つきが悪く、就寝中も眠りが浅く、深夜に起きることが多くなっていました。

 夫は美香さんが隣で眠りから覚めていることに気がついていなかったようで…夫の携帯に映っていたのは見知らぬ女性の胸やお尻の画像。さらに手の動きから画像をスクロールするだけでなく、文字を打ち込んでいる気配を感じ取ったのです。美香さんは横目を使って、夫の携帯をこっそりと窺ったところ、

 「うん。まぁくんと一緒に寝るー」
 「まぁくんは?おっきくなりたいって?」
 「また会いたいね」
 (注:夫の名前は正樹でニックネームは「まぁくん」)