今回の大震災を契機に、危機におけるトップのリーダーシップについて考えてみた。

 その要諦は、

(1)現状の問題(目の前の問題)を解決する、併せて
(2)その先を見据えた手を打っておく

 に尽きるが、これがなかなか難しい。

この人なら町を再生できると
感じさせるもの

 3月21日付の朝日新聞に掲載されていた南三陸町の佐藤仁町長のインタビュー記事には、今の緊急事態をどうしたら良いかについてこう書かれている。  

 たとえば「物資はいくらあってもいい」とか、あるいは「避難所にいる人だけが困っているわけではなく、幸い自宅が無事で自宅にいられる人間も買い物に行けずに困っている点では避難民であるから保護する必要がある。そういう人に物資や食料が行くように配慮しないとだめである」。しかし、こうした受け答えは、ちょっと優れたリーダーなら出来るだろう。この後に言っていることがふるっている。

「ありがたいのは避難所ごとに自治組織が出来、そこでそれぞれのリーダーがいて自主的に行動してくれている。役所はそのサポート役で良い。これまで行政ではなく、住民全体で街作りをしてきたのでこういう人たちがうまくやってくれている」。これまで、彼がどんなリーダーシップを発揮してきたかが窺われる内容である。

 さらには「町の再生は難しい。それは津波に流された更地をもう一度区画整理しても、もう低地にすむのが嫌だと言って、そこに人が戻ってこなければ町は再生しない。道路や建物、インフラなどのハードの部分はお金をかければやれます。でも、こういう災害を受けて、なお、ここに住むかどうかという心の問題は、私たちではどうしようもないところがあります」、「町外、県外に出ようとする住民も出てくる。その受け入れ先も探さないといけない」。