1960年代。それは東京がめざましい発展を遂げた栄光の時代。その当時、江戸川区の南部一帯には、のどかな田園風景が広がっていた。鉄道の便が決定的に悪かったためだ。

 ようやく東西線が開通するのが1969年。以後、団地ができ、マンションが建ち、店が集まり、急速に街がつくられていく。総武線の駅前に代表される歴史の古い商店街。新設駅や団地の周りにできた新しい商店街。江戸川区には、新旧2つの商店街が対をなしている。

人口の多さに追いつかない商店街の販売額
街の需要を最初に満たした食品スーパー

 面積、人口ともに4位。江戸川区は大きな区だ。ところが、商店街の数は13位となる。専門店数は8位、食料品専門店数は7位、さらに販売額となると専門店が14位、食料品専門店も9位。いずれを取っても、規模と比べて見劣りがする。そうかと言って、大型店が多いわけでもない。大型店の店舗数は8位、販売額は13位に留まる。

 そんななかで、一人気を吐いているのが中小食品スーパーだ。その店舗数は1位、販売額は3位。江戸川区は、23区有数の食品スーパーの集積地である。

江戸川区の商店街――人口増加の新興住宅地で販売額が急増する、食料品専門店の“底力”

 サミット、ライフなどのお馴染みのチェーン店に加え、地元資本のローカル食品スーパーチェーンが元気なことも、江戸川区の特徴だ。その代表は、詰め放題のタイムセールで有名なヤマイチ。一之江に本社があり、区内に12店舗を展開する。

 区内に8つの店をもつワイズマートも、今は千葉県の浦安に本社があるが、元をたどれば葛西の生まれである。