東日本大震災発生からほぼ1ヵ月が経ち、被災地では復興に向けた動きも出始めた。一方で、「過剰な自粛」や「疑心暗鬼」が日本中で顕在化し、人々のマインドはかつてないほど落ち込んでいる。議論は「花見の是非」にまで及び、日本経済への打撃や風評被害に対する懸念も拡大している。「現在の世相に息苦しさを覚える」という声さえ出始めるなか、人々は何に怯え、背景にはどんな理由があるのか。現状を検証し、課題を探った。(取材・文/プレスラボ・宮崎智之)

かつてないほど落ち込む人々のマインド
春の風物詩「花見」さえも自粛の対象に

 東日本大震災が発生した3月11日。あれからほぼ1ヵ月が経ったが、世間の混乱はまだまだ収まっていない。震災直後の一時期よりは消費に対する自粛ムードも薄まってきているが、依然として客足が伸び悩む飲食店やホテルが多く、派手な消費を控える風潮もまだ残っているようだ。

 「街に活気がないというか・・・・・・。コンビニも看板のライトを消しているので、営業しているかどうか外からではわからない状況ですし・・・・・・」(30代/男性)。

 この男性は、自粛ムードに否定的。消費を活性化させ、復興を後押しさせた方がいいと考えているという。「かといって、実家の母親からペットボトルの水が大量に送られてきたときには、さすがに苦笑いするしかありませんでしたけどね」と話す。

 日本史上最大の激震、大津波、原発事故――。これほどの異常事態が同時に発生すれば、人々が買い物やレジャーに出かける気持ちを失うのは、むしろ当たり前と言える。次の有事に備えて、「少しでも資金を手元に残しておきたい」と、節約意識を強めている人も多いだろう。

 過去の災害時と比べても、「こんな時期に自分たちだけ、楽しいこと、派手なことをしてはいけないのではないか」という罪悪感にも似た感情が、より強く人々の心にズシリと根を下ろしているように思われる。しかし、直近では、日本中が重苦しい空気に覆われている現状に対して、警鐘を鳴らす声も出始めた。