筆頭株主、森トラストと経営陣との対立に乗じて、イオンがパルコを乗っ取りにかかっている。威圧的ともいえる提携案に、当のパルコは拒絶反応を示すが、森・イオン連合の持ち株比率は45%を超え圧倒的に有利な状況にある。5月末の株主総会に向けて、両者のつばぜり合いは激しさを増すばかりだ。

わずか1ヵ月の間隙突いた<br />イオンのパルコ乗っ取り劇突如、大株主として現れたイオンが突きつけてきた要求に、平野秀一・パルコ社長は「応じられないし、今のところ信頼関係も築けていない」と主張している
Photo by Kazutoshi Sumitomo
わずか1ヵ月の間隙突いた<br />イオンのパルコ乗っ取り劇Photo:JIJI

「2月決算の会社にとって、あのタイミングでのイオンの発表には度肝を抜かれただろうね」(金融機関関係者)

 小売り大手のイオンがパルコ株の12.31%を取得したと公表した2月22日のことである。

 専門店ビルを運営するパルコは2月期決算。5月下旬に予定されている株主総会で、株主が議決権を行使するには、2月末時点で株を有することが条件になる。その基準日まで、1週間を切るタイミングでの出来事だった。

 その後のイオンの動きは素早かった。

 3月17日にパルコに提携を申し入れた。内容は、CEO(最高経営責任者)を含む取締役3人を送り込み、将来の子会社化も検討しているという威圧的なもの。これをパルコが拒絶すると、今度は筆頭株主の森トラストと組んで、現経営陣を退任に追い込む株主提案を突き付けてきた。

 株が議決権を持つ基準日(2月末)と、株主提案の締め切り(3月末=株主総会の8週間前)のわずか1ヵ月間という間隙を利用した奇襲攻撃だ(下の図参照)。緻密なタイムスケジュールを駆使し、相手に検討の余地を与える間もなく策を繰り出してきた。

わずか1ヵ月の間隙突いた<br />イオンのパルコ乗っ取り劇