東芝の関係者によると、アップルへの返済はドル建て。当時は1ドル=80円前後だったが、その後円安ドル高が進んだことで、返済するたびに多額の為替差損が発生していたわけだ。

 そのため、JDIは営業黒字であっても経常損益、最終損益で大幅な赤字になるという財務上の「欠陥」を抱えてしまい、16年4~12月期においても、同借金による為替差損は実に40億円強に上っている。

伸び悩むiPhone

 ただ、JDIを大きく苦しめてきた借金の返済は今年1月、ようやく終わりを迎えた。

 東芝としても、JDIが完済を目前に控える様子を見て、ある種の後ろめたさから解放されて、一定のケジメはつけたという思いが、保有株売却を後押しした可能性は十分にある。

 呪縛から解放されたJDIは、14年の上場以降初となる、最終損益の黒字化がおぼろげながら見えてきた。

 華為技術(ファーウェイ)やOPPOといった中国の大手スマホメーカーとの取引が順調に拡大しており、営業利益も堅調に伸びている。

 最終黒字への懸念材料は、JDIにとって液晶パネルの最大の供給先であるiPhone7の売れ行きが鈍いことだ。そうしたアップル依存の構図を乗り越えてこそ、まやかしではない本当の意味での成長戦略が見えてくる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)