高齢者受難の時代、介護は社会資源も活用して乗りきろう

 ここ数年、医療・介護分野では、国民に対して「負担能力に応じた負担」を求める制度改革が続いている。

 一昔前まで、高齢者は一括りに弱者として扱われ、社会保障制度でも税制面でも優遇されていた。だが、人口の高齢化、若年層の雇用環境の悪化など、社会構造が大きく変化しているなかでは、これまでのように年齢で区切る社会保障の負担では制度が持ちこたえるのは難しくなってきている。

 そのため、これまで優遇されてきた高齢者の医療費や介護費も見直されることになり、今年8月から70歳以上で、年金や給与などの所得が一定額以上ある人の自己負担は引き上げられる。

 ひとつは、本コラムでもお伝えした健康保険の高額療養費の限度額だが、それに伴い介護保険の「高額介護サービス費」の限度額(自己負担額)も引き上げられる。

高額介護サービス費が
8月から一部引き上げに

 介護保険の利用を申請すると、利用者の心身の状態から「この人はどのくらい介護サービスが必要か」が事前に判定され、要介護度が決められる。

 介護度は、要支援1~2、要介護1~5の7区分で、数字が大きくなるほど介護の必要性が高くなると判断され、利用できるサービスの支給限度額も増えていく。サービス料金は1単位で表示されており、1単位あたり10円前後(自治体によって若干異なる)をかけたものが実際の介護費用だ。

 たとえば、要支援1は5万30円だが、要介護1は16万6920円。要介護5になると36万650円が、介護保険で利用できるサービスの支給限度額で、利用者は実際に使ったサービスの1割(高所得者は2割)を自己負担する。

 要介護5で30万円分のサービスを使ったとすると、1割負担の人は3万円、2割負担の人は6万円が自己負担額になる。

 だが、介護サービスの必要度は、お金のあるなしは関係ない。年金収入が少なくても、認知症などになって介護サービスをたくさん必要とする人もいる。