翻って今回、ロッテが中国の恨みを買ってでも、国内の主流の民意に従い、韓国国防省との用地交換の協定に調印したことは、実は同様に“忠誠心”を表明する行為の一部だった。

 ロッテは中日韓三国のパワーゲームのはざまで、歴史と現実がないまぜになった圧力を受け、自分で自分の運命を左右できない状況に置かれている。

ロッテホテル前で横断幕を掲げる民衆に
「ロッテは日本企業」と伝えてみたら…

 韓国の黄金時代であった1970年代、日本で創業した辛格浩は韓国進出の賭けに出て、勝利を収め、ロッテビジネス帝国は創業以来の規模に拡大した。21世紀に入って、中国市場が爆発的に拡大すると、今度は中国進出の賭けに出た。2007年にロッテが3000万ドルの資金を投入してロッテ(中国)投資会社を創立したのは、その野心の現れだった。

 しかし、「サード事件」が起きたことで、ロッテが中国ボーナスを手に入れ続けられるかどうか、不確かな状況に変わった。

 中日韓の微妙なトライアングルの中でビジネスを展開して来たロッテも、この数年はミャンマー、マレーシア、インドネシア、シンガポールやベトナムなどの東南アジア諸国とインドと頻繁に行き来している。2014年、ロッテはインドにキャンディー工場を新設し、2016年には、ベトナムで12店舗目のショッピングセンターを擁し、計画では2020年には60店舗に増やすことにしている。「サード」事件を機に、ロッテは中国から東南アジアに重心を移す可能性もある。

 中韓両国は国交樹立以来、一貫して良好な関係を維持してきた。韓国は腹の中で、中国が核兵器開発を進めている北朝鮮をコントロールする上で力にならないことを恨んでいるとしても、少なくとも表面的には良好な関係を装っている。

 そんな中日韓の微妙なパワーバランスの中、今回の「ロッテボイコット」は中国における初めての韓国企業ボイコットである。だが、もしロッテマート前で「サードを支持するロッテは直ちに中国から出て行け」と書いた横断幕を掲げた民衆に、「ロッテのバックには日本がいる」ことを伝えたら、どんな展開になるだろうか。

(在北京ジャーナリスト 陳言)