一貫校の大学への合格状況に詳しい父母は多いが、さらに先の大学卒業後の進路について詳しいかというと、それほどでもない。就職は、かなり先の10年後のことと思っている人が多いからなのか。

 しかし、大学進学時には学部は決まっており、学部によって大学卒業後の進路はあらかた見えてくる。さらにそれ以前に、高校生の時に文系、理系、さらには国公立大、私立大のコースに分かれる一貫校も多い。早いところでは高校1年から分かれる。つまり4年後には大学卒業後を念頭に置いた選択を迫られることになるのだ。決して10年後のことではない。中学進学の時点でもある程度、大学卒業後、どの道に子どもを進ませるか考えておく必要がある。

 まず気になるのは各大学の就職状況だろう。世の中はまさに不況の真っ最中。大学新卒者の就職は氷河期と言われるほど冷え込んでいる。10年後には景気が回復しているとの楽観的な見方もあれば、このまま不況が続くとの見方もあろう。

将来、医師を目指すなら
“同志”と共に頑張れる一貫校へ

 確かなことは医学部などを除いて有名大学に進学したから、将来は安泰と安易に考えないほうがいいことだ。

 将来の進路が比較的はっきりして、一貫校を選んでいるのが医師を目指すケースだ。募集の時に医学部コースを設けている一貫校もあるぐらいだ。子どもを医師にと考えるのなら、医学部医学科の合格者の多い学校を選びたい。それは教育力が高いからだけではない。周りに医学部を目指す同級生がたくさんいると、お互い刺激を受け、励ましあいながら医学部合格を目指して頑張れるのである。

 医学部に強い一貫校は西日本に多い。今年、国公立大の医学部にもっとも合格者が多かったのは愛知の東海で112人。次いで灘、ラ・サール、久留米大付設、青雲、西大和学園、東大寺学園と首都圏以外の一貫校が続く。ちなみに東海は公立校などを含めても、全国でもっとも医学部合格者の多い学校となった。