「ご自宅やお店に貼るだけで、防犯効果抜群です」

 最近、こんな謳い文句で売り上げが伸びている「防犯ステッカー」なるものをご存知だろうか。インターネットやホームセンターで売られており、安いものなら100円、高いものでも4000円程度で手に入る。

 「Warning!」「防犯装備」「猛犬注意」といった文字を派手な背景色の中にデザインしたステッカーは、家の入り口に貼るだけで、あたかもホームセキュリティを導入しているかのように見せかけることができるため、その防犯効果は馬鹿にできない。

 「セキュリティはお金持ちもの」という発想は、もはや古い。「最近治安が悪くて怖いが、警備会社のホームセキュリティはおカネがかかるから、なかなか導入できない」――。一般市民の間に広がるそんな悩みを解消してくれるのが、防犯ステッカーなのだ。

 背景には、“体感”治安の悪化がある。

 実は、警察庁発表の犯罪認知件数は、2002年の285万件をピークに、07年には190万件まで減っている。にもかかわらず、「子供や女性を巻き込んだ凶悪犯罪の報道が急増しているため、人々が昔よりも犯罪の恐怖を身近に感じるようになっている」(緑川直樹・全国警備業協会 総務部課長代理)のだ。

不況下でも本業は堅調な
警備会社の「なぜ?」

 このような体感治安の悪化という追い風もあり、折からの不況下でも意外に元気なのが、ほかでもない警備業界である。

 拡大の一途を辿ってきた警備業界の市場規模は、07年度には3兆5634億円に達した(警察庁調べ)。業界最大手のセコムを例に挙げれば、08年度第3四半期におけるセキュリティサービス事業の売上高は、対前年同期比で1.4%増加している。08年度通期は不動産事業の悪化などで増収減益見通しのため、「絶好調」とは言えないものの、不況下でも主力事業は堅調に成長を続けているのだ。

 だが、冒頭で述べたように、いかにセキュリティ需要の高まりが大きいとはいえ、これだけの不況を警備会社が何とか乗り切っていられるのは、いったい何故なのか。