経営コンサルタントと言えば、論理性に優れ、分析力のある頭脳エリートが、顧客の企業が抱える課題に、短期間で最適な答えを出すプロフェッショナル集団と思われている。

 もちろん、これは間違ったイメージではないが、私の経験では、優秀なコンサルタントは分析力や問題解決力に優れているというより、問題発見力に優れていることが多い。

 なぜなら、企業の経営に当たって、誰か他人が「あなたが解くべき問題はこれですよ」と教えてくれることはない。自分で解くべき問題を見つけ、答えを出して、実行していくしかない。その際、最初に解くべき問題を間違えてしまえば、いくら良い答えを出したとしても、企業の問題解決にはつながらない。

 経営学者のピーター・ドラッカーも、「経営における最も重大な過ちは、間違った答えを出すことではなく、間違った問いに答えることだ」と言っている。この正しい問題あるいは優先順位1番で解くべき問題のことを、「大論点」ないしは単に「論点」と呼ぶ。

あなたがいまこの国のリーダーなら
どのような課題に直面するか

 今回の東日本大震災に当たって、あなたがもし国のリーダーであれば次のような様々な問題に直面する。

 まずは、被害者の救助、並びに生活環境の保証。これは、必ずやらなくてはならないことである。一方で、被災地の復興となると、これはどのような優先順位で何をやるのかが問題になる。元に戻すのが良いのか、海に近い場所には街を作らないようにすべきか、あるいは集団移住を考えるべきかなど、考えるべきことは山ほどある。さらに、これらの問題を国が担うべきなのか、あるいは自治体に任せるべきなのかを考える必要もある。