先日、社員のメンタルヘルスを改善させたいという課題がある企業で研修をする際、役員の方から「笠井さんには失礼かもしれないけれど、メタボにならないことよりも、食という誰にとっても共通のテーマをシェアして、会話のネタにしたり、社内の風通しをよくすることが目的なんですよ」と言われて、そうしたきっかけにしていただけるのはうれしいことだと思いました。

 ただ、社内のコミュニケーション活性化ではなく、真剣に社員の健康改善を掲げて、例えば特定保健指導を受けてもらうための導線づくりがしたい、という目的を立てているのであれば、話は変わります。本当に参加してほしい社員が「参加したくなる見せ方」をしているかというのも問題になると思います。

 開催時間を工夫するのは大前提ですが、ハードルが低く感じられるタイトルにすることも大事です。極端な例を挙げると、参加してもらいたいのは激務の部署のメタボ社員だとして、「メタボにならない自炊のコツ」なんてテーマでは「自分にはできない」と思ってしまうでしょうし、すでに体型を気にしている人にとっては、メタボという文字があることに反応して参加しにくくなる場合もあります。そうしたときは、変化球で「忙しい人でもできる〇〇」「コンビニ食でも続く健康生活」というふうに少し親しみやすいテーマにしてもいいと思います。

 また、近年は、中途採用社員へのサポート不足を考える必要もありそうです。会社としては新入社員研修を例年開催しているからほぼ全員が受けただろうと思っている研修であっても、中途採用者にとってはまったく未知の世界のものになっていることが多々あるからです。

 これらの機会は総務・人事担当者の発案に限らず、他部署の社員から同期や話しやすい総務・人事の人に発案してみるのもいいのではないでしょうか。私が参加する研修の依頼理由に、「社員からのリクエストがあったから」という声は少なくありません。そうした声を拾い上げることができる組織体制があることも大切です。