タクシーの乗り合いをAIで調整、新交通システムの可能性JR函館駅構内の掲示。北海道新幹線開業1周年を大きくPR Photo by Kenji Momota

はるばる来てみて分かったこと

「SAV (サブ)」って何だ?

 NTTドコモは2017年3月9日、人工知能を活用したモビリティサービスプラットフォーム「AI運行バス」の記者発表を行った。

 このプロジェクトでドコモと連携するのが、2016年7月に設立されたばかりのベンチャー企業「未来シェア」だ。SAV (スマート・アクセス・ヴィークル)という理論を唱えている。

 未来シェアの母体は、公立はこだて未来大学にあると聞き、記者会見の2週間後、羽田から函館に飛んだ。

タクシーの乗り合いをAIで調整、新交通システムの可能性函館市郊外にある、公立はこだて未来大学タクシーの乗り合いをAIで調整、新交通システムの可能性未来シェアの代表取締役社長で、公立はこだて未来大学の副理事長の松原仁氏 Photo by Kenji Momota

 空港から約30分の道中、個人タクシーの運転手さんの自慢話を聞いた。

「北海道新幹線が開業1周年だけど、昨年に比べて今年は観光客がめっきり減ったね。まあ、思い起こせば、バブルの頃は本当に良かったよ。ここから7時間かけて、札幌に行ってくれというお客もいたし。私自身の一番のロングは稚内まで回る1週間ツアーで、105万円をポンと払った客がいたんだから」。今回、函館市内の山間部にある、公立はこだて未来大学まで、空港からの運賃は4350円だった。

 出迎えてくれたのは、未来シェアの代表取締役、工学博士の松原仁氏。人工知能の研究者で、一般社団法人・人工知能学会の前会長を務め、現在は公立はこだて未来大学の副理事長。未来シェアは同大学の学内ベンチャーである。

 以下、松原氏とのQ&Aをご紹介する。