元官僚の目で分析、森友学園“忖度”問題をめぐる誤解と現実

森友学園問題で真に追及されるべきは
近畿財務局による売却と大阪府による認可

 森友学園問題が国会とメディアの双方でいまだに連日大きく取り上げられていますが、どうも最近は、昭恵夫人付きの官僚による財務省への問い合わせや籠池氏に送ったファックスなど、それはそれで大事だろうけどやはり瑣末な問題ばかりがクローズアップされているように見受けられます。

 しかし、本来この森友学園問題でしっかりと解明されるべきは、

・なぜ近畿財務局は国有地を安値で売却したのか

・なぜ大阪府は問題があるにもかかわらず小学校設立を認可したのか

 という2つの点です。政治側の介入があったのか、または官僚の忖度で行われたのか、そこに違法性があったのかが、早く解明されるべきです。

 本題に入る前に、一言余計なことを書いておくと、昭恵夫人が100万円を森友学園に寄付したかどうかに関して、元官僚のある方はその信憑性が薄いと断じ、理由として「要人に各省から派遣された随行公務員は監視役であり、指揮命令権は各省人事課が持っている」という趣旨の発言をしていますが、これはちょっと現実とは違うと思います。
 
 政権の要人の秘書官などで出向した場合、出身の役所は関係なく上司の指示に従うのが通例だからです。出身の役所と連絡をとるのは、そこに情報を横流しするときだけです。実際、小泉政権のときに私が竹中平蔵大臣(当時)の政務秘書官に出向していたとき、親元の経産省から指示を受けたことなど一度もありません。

 私の経験からはむしろ、ボスである昭恵夫人の案件であることを考えると、たとえば昭恵夫人付きの官僚が財務省にコンタクトしたときも、籠池氏にファックスを送ったときも、普通なら昭恵夫人の了解をとるか、少なくとも一言仁義を切ってから行ったと思います。

 それはともかく、本題に戻ると、近畿財務局による国有地の安値売却と大阪府による学校認可の双方について、これまで報じられている事実関係からも、政治の介入はなかったと考えるのが自然だと思います。そもそも、総理や総理夫人が圧力をかけるなど、それが発覚したら大変なことになるのは自明なので、そんな脇の甘いことをやるはずありません。