人間の労働を代替するAI・ロボットに課税すべきか

プロ棋士・佐藤天彦名人が
コンピュータに敗戦という衝撃

 4月1日、将棋のプロ棋士とコンピュータープログラムの頂上同士が戦う電王戦の第一局で、佐藤天彦名人がponanzaというプログラムに敗れた。勝負はもう一局残っているのだが、この敗戦は、筆者にとって、現役プロ棋士のタイトルホルダーがはじめて公式対局でコンピュータープログラムに敗れたという以上に衝撃的だった。

 筆者は、「弱いアマチュア4段」というくらいの棋力なので、プロに近いレベルで将棋を理解できるわけではないのだが、将棋の内容があまりに大差だった。先手を持ったponanzaは、初手に3八金という、直ちにとがめるのは難しいとしても、得になりそうにない手を指した。そして、その後も、一歩損しながら悠然と駒組みを進めて、佐藤名人に先攻を許した。しかし、71手の短手数で名人を投了に追い込んだ。消費時間も大差だったし、投了図は無残だった。

 局後の佐藤名人の率直な言葉によると、貸し出されたプログラムとの練習将棋でもponanzaにはほとんど勝てなかったらしい。こと将棋というゲームに関しては、コンピュータープログラムが人間に勝るようになったと理解していいだろう。

 だが、プロ将棋の場合はまだいい。日本将棋連盟がマーケティングを間違えなければ、「人間対人間の頭脳の格闘技」としてのプロ将棋は商品としての価値を今後も保つことができるだろう。

 しかし、製品を作ったり、サービスを提供したりすればいい経済の世界では、AIとロボットによる人間の労働の置き換えは大いに進むにちがいない。