「いい縁故採用」と「悪い縁故採用」はどこが違うか縁故採用が仕事を進めやすくすることもあります。家族ぐるみの付き合いで小さな頃から知っている子女が、仕事で頼ってきたら力になりたいのが人情です

 少し前のことになるが、NHKの朝ドラマ「べっぴんさん」を見ていたら、こんなシーンがあった。

 創業者の娘と創業者仲間の息子が、親の会社の入社試験を受けようとする。「小さな会社だし、入社することになったら他の社員からは絶対に縁故採用だと思われる…」と嫌がる親たち。しかし、人事部長が「優秀な二人だから、試験を受けさせよう」と説得して、彼らは入社試験を受けることになる。

 その試験は名前を隠して受けられるタイプのものだったのだが(イラストやデザインセンスを見る試験だった)、二人は見事合格。希望通り、親の会社に入社が決まった。

 「なんだ、ずいぶんご都合主義な展開だな」と思われるかもしれないが、二人は美術大学と東京大学を卒業してアメリカ留学までしているキラキラキャリアの持ち主である。ある程度優秀なのは確かだし、創業者の娘や息子でなくてもきっと採用されただろう。

 縁故採用と聞くと、眉をひそめる人もいると思う。しかし、私は世の中には「いい(許容できる)縁故採用」と「悪い縁故採用」があると思う。

縁故採用3類型
採っていい縁故・ダメな縁故を見極めよ

 ある程度の規模の会社であれば、「秘書室採用」と呼ばれる採用がある。いわゆる「縁故採用」だ。人事部とは別のルートで、特別な採用枠があるのだ。これには大きく分けて3つの種類がある。