注意すべき「事故調査・検証委」の人選
“原子力村”の住民は排除を

 福島第一原発の「事故調査・検証委員会」の設置が閣議決定され、5月中にも発足する見通しとなった。

 委員長には畑村洋太郎・東大名誉教授の就任が決まり、委員は10人程度、原子力の専門家や法曹界から選び、事務局長は現職検事から起用するという。

 注意すべきは、まず委員の人選だ。“原子力村”に参加していた人たちは排除して選ばなければならない。

 原子力村の主要な構成員は、(1)資源エネルギー庁や原子力安全・保安院に在籍していた関係閣僚やOB、(2)東京電力をはじめ電力会社の経営者やOB、(3)政府や電力会社と関係の深い原子力学者、(4)原発推進派の族議員、(5)電力労組の役員やOB、である。

 これらの人たちは、今回の調査・検証の対象であるから、言わば被告席側にいる。調査・検証委員会に入ると、被告が検事や裁判官役も兼務するようなことになり、検証結果の信頼性が疑われる。

 当然のことながら、政府もその意向だが、人選が明らかにならなければ評価はできない。

なぜ“三条委員会”にしなかったのか
強制力なき調査では「国の信用」が落ちる

 また、この調査・検証委員会の権限も気になるところだ。内閣官房に置くということだが、それでは1つのプロジェクト・チームのようになる恐れもある。

 菅直人首相は、以前から「独立性や公開性の高い検証委員会をつくる」と豪語してきたが、また約束違反をしたようだ。