「現場実践」3ヵ月で寿司職人を育てる飲食人大学

「飯炊き三年握り八年」とも言われる寿司職人の世界にも革命が起きつつあります。

 2002年開校の東京すしアカデミー(東京都新宿区)は、最短2ヵ月での技術習得を謳います。2015年開校の飲食人大学は、東京・名古屋・大阪に展開するいわゆる調理師学校なのですが、1年制ではなく3ヵ月による短期集中プログラム (*4)です。

 その卒業生のみで切り盛りするお店「鮨 千陽(ちはる)」が開店からわずか11ヵ月で「ミシュランガイド京都・大阪2016」に掲載されてました。「星はつかないが5000円以下で楽しめるコスパの高いレストラン」ビブグルマン(*5)として紹介され、大いに話題となりました。

 この飲食人大学では「現場実践」がキーワード。まずは食材をふんだんに使っての反復練習を徹底します。そして後半は鮮魚市場での仕入体験からコースづくり、実店舗での実習まで。

 卒業後は、海外和食店(2013年調査で5.5万店)での活躍を目指す人も多く、外国人の生徒も目立ちます。また、飲食業界への人材紹介・派遣サービスや飲食店運営・コンサルティングを展開する親会社RETOWNの「開業支援」制度を受けることも可能で、卒業後の道を拓いています。

5日間講習でパン屋を育てるリエゾンプロジェクト

 おかやま工房(岡山市)の展開するパン屋開業支援事業 リエゾンプロジェクトはもっと極端です。研修はたった5日間で、費用は10万円。それだけでパン職人としての基本はOK (*6)、と。

 もちろん開業に資金は掛かりますが1200万円前後と、通常の3000万円に比べればかなりのスモールスタートです。

 それらを可能にしたのは独自の商品設計と機械化です。

 通常数種類を使い分ける小麦粉はオリジナルブレンドの1種類のみ。生地も通常15種類の所を5種類に集約しました。それでも150種類のパンがつくれます。室温は年間を通じて25℃に保ちます。加えて、安定した焼き温度を保てる機械の導入などによって「製造工程から“職人技”をすべて排除した」と代表の河上祐隆(つねたか)さんは言います。

 2009年のサービス開始からすでに120軒以上が開業にこぎ着け、ほとんどが黒字を出しているとか。脱サラの50代男性や、パンづくりが趣味だった40代主婦といった人たちが挑戦し、その夢を叶えているのです。

*4 費用は60万円。一般的な1年制調理師学校は120~180万円。
*5 Bib Gourmand(仏語)。Bibはミシュランのキャラクター「ビバンダム」の愛称。「食いしん坊のビブ」というような意味。
*6基本15種類のパンがつくれるようになる。