人工知能は人間から信頼されなければ淘汰される

 人類は「道具」を使うことで文明を発達させてきた。道具は肉体の力を増幅したり、人間の作業効率を上げる。

 そしてその後、人類は人力以外の動力を用いる「機械」を発明。そのおかげで桁違いに大規模な生産活動を行えるようになった。

 機械の導入は、一部の労働者の職を奪った。しかし、その代わりに、機械や工場の生産ラインの設計・構築・運営・管理といった新たな仕事が生まれた。

 また、機械の動力に必要なエネルギーを生産・供給する事業や、大規模な設備投資や運営資金を融資する金融業、大量に生産される商品を消費者に届ける流通業や小売業なども発達する。こうした広がりにより、雇用の全体量は減少するどころか、長期的にはむしろ増えている。

 さらに現代になると、ロボットなど自律的に動く「自動機械」が登場し、発達。生産ラインの制御や管理など、それまで人間が担っていた知的労働の一部を機械が担うようになる。最近では、ほとんど無人で操業可能な工場も増えてきた。家庭でも全自動洗濯機からお掃除ロボットまで、“勝手に”家事をやってくれる自動機械が揃ってきている。

 すると人間の仕事は、新たな商品やサービスや、その利用シーンを企画・デザインするようにシフトしてくる。自動化による省力化が、創造的な領域に雇用を振り分けるようになってきているのだ。

 このように道具や機械の進化は、単に人間の仕事を奪ってきたわけではない。社会構造や人々の嗜好を変化させ、それに応じて人間側の役割分担を変えてきたということだ。