常識を覆す「1日10円」通信サービス、小さな巨人ソラコムの革新力従来のIoT通信プラットフォームが抱えていた課題と、ソラコムの解決策

 ソラコムのプラットフォームは、基地局は既存キャリアのシステムを借りているが、残りはすべてクラウド上のソフトウェアで動かしている。専用機器の部分を、ソフトウェアで置き換えたのである。このソフトの開発には1年弱を要した。ソフトで置き換えたことによって、コストダウンだけでなく、ユーザーはウェブコンソールやソラコムのAPI(Application Program Interface)を利用して、自ら通信速度等を自由に変更できる。その結果、ユーザーが自分で設定を変えられる柔軟性と、急激な通信の増加に対応できる拡張性をも実現できた。

 ソラコムは従量制課金を行っているが、ソラコム自身は損をしない価格づけを行っている。赤字で顧客数を増やすのではなく、利益を上げながら顧客数を増やし、顧客数が増えるに従って自社のコストが下がり、それを原資に値下げしていくやり方をとっている。これはアマゾンのAWSと同じ思想である。

ユーザー自らがアプリケーションを開発
AWSと似たビジネスモデル

 SORACOM Airを使ったアプリケーションは、ソラコムがつくるのではなく、ユーザーにつくってもらうことを基本としている。これも、アマゾンのAWSと似たような考え方である。ソラコムは、あくまでIoTにおいて専門性が求められる通信部分を使いやすく提供することに目的を絞っており、IoTシステムに必要な他の部分は、その分野が得意なパートナーと組んで提供している。

 ソラコムが提供するパートナー・プログラム(SORACOM Partner Space)にはすでに300社が登録しており、うち60社ほどが実績のある企業として認定されている。この中には、日立、富士通などの大企業だけでなく、デバイス、ソリューション、インテグレーション、ネットワークの専門企業が含まれている。

 また開発者コミュニティへの協力も、AWSのスタイルと似ている。ユーザーは自分たちがつくったアプリケーションを持ち寄り、開発者コミュニティをつくっている。この場を通じて、開発者は情報を共有し、学び、自分でシステムを組むことを容易にしている。

 ソラコムの当初のユーザーは、新しい技術の導入に柔軟なAWSなどのクラウド・ユーザーや、リーズナブルな通信を求めていた中堅・中小企業、スタートアップ企業が多くを占めた。何がキラー・アプリケーションになるのか実験をしようという企業の“お試し”には最適である。