零細こんにゃく企業が機械を捨て“手づくり”で世界を制した理由福岡県大牟田市にある従業員17名の小さなこんにゃくメーカー、石橋屋。熟練の職人が手間暇惜しまずにつくった自慢の製品を手にする石橋渉社長

世界にこんにゃく文化を広める
「ミスター・コンジャク」とは?

「こんにゃく文化を世界に広める」

 福岡県大牟田市にある従業員17名の小さなこんにゃくメーカー、石橋屋4代目社長の石橋渉(59歳)は、世界中に本気でこんにゃく文化を広めようとしている。

「おいしいものに言葉はいらない。食べてもらえれば、誰でもわかる」

 石橋屋は現在、世界20ヵ国にこんにゃく製品を輸出、石橋は海外で「ミスター・コンジャク(konjac)」と呼ばれている。本来はミスター・コンニャクなのだが、海外では発音しにくいのでコンジャクになった。

 ミスター・コンジャクは明るく、元気だ。話を聞いているとこちらも楽しくなるほどで、これまでの苦労も笑い話のように語る。

 石橋屋は、今では貴重な製法となった「バタ錬り」と呼ばれる手づくりを守り続けている。創業は明治10(1877)年、140周年になろうという老舗メーカーである。創業以来、こんにゃく一筋。現在が4代目で、5代目になるであろう長男もすでに一緒に働いている。

 バタ錬りとは、内部に羽根がついた四角い鉄の容器にこんにゃくのりを入れて錬るときに「バタバタ」と音がすることから名付けられた。このバタ錬り機の羽根の形や錬り方などは、各製造者のノウハウで、かつては色々なタイプのこんにゃくがあったという。