「飽食の時代」という言葉が使われたのは既に20年以上も前のことですが、その状況はさらに進行しているようです。世界中のあらゆるところから、工業製品のようにして作られた食べものが、安く、大量に届けられ、私たちの世界は食料に溢れているようにすら思われてきます。

 しかし、それが錯覚に過ぎないことは、3.11の震災後のスーパーの棚が示してくれました。むしろ、私たちは世界中から食べものをかき集め、その結果、なんとかこの「虚栄」を保っていると言えるでしょう。

 日本はもともと食料自給率が低い、つまり海外依存度が高いのですが、今回の東電原発事故によって引き起こされた広範囲の放射能汚染を考えると、今後、海外への依存を少なくとも一時的にはさらに増やさなければいけない状態にあります。ところが今年も、既に中国やフランスなどの食料輸出国から、異常気象のニュースが聞かれます。全世界的な食料危機が刻一刻と近づいてきているようにも思えます。

こうした状況を見直し、私たちの「食」を確保するための方法の一つとして、今回は食品廃棄物の問題を取り上げたいと思います。

 ご存じでしょうか。日本では、毎年2000万トン、つまり消費する食品の2割、輸入する食品と比べると3割もの食品が廃棄されているのです。(表1参照)

食べものを本当に棄てているのは企業か消費者か

 単純に考えれば、これを減らすだけで、私たちが生産又は輸入しなければならない食品の量を大幅に減らすことができます。今後もし供給量が本当に少なくなるような事態になったとしても、ひもじい思いはしなくて済むはずです。