これは女性も同様で、某出版社が病児保育のサービスを導入する際、「私たちの時はそんな制度がなくて苦労したのに」と反対したのは過去に子育てを経験した上の世代の女性たちだった、と聞いています。そういう昭和的な呪縛をいったん解き放たないといけないのではないでしょうか。

女性に足りないのは
「男性を巻き込む力」

──当事者である女性たちに求められる取り組みとは、どのようなことだとお考えですか。

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 国が変革するにはまだまだ時間がかかります。女性たち自身も気づいてもらえるまで受け身でいるのではなく、もっと声をあげて働く環境の意識改革を自分たちで発案し、勝ち取っていく意識が必要です。

 というのも、国会議員ですら女性が9.5%しかいない現状では女性が抱える問題は気づかれにくいのに、それを世に発言している女性はまだまだ少数。「何を言われるか分からない」「今の生活バランスを壊したくない」と、リスクを考え二の足を踏んでしまう面がある。

 特に女性は、女同士の横のつながりを作るのは得意でも、男性を巻き込む力が弱い。愚痴などの感情論ではなく、どうすれば女性が働きやすい環境になるのか、数値などを背景にロジカルに話していける論理性を補完していかないと、なかなか男性には伝わりません。

 先日「保育園落ちた、日本死ね」というブログが話題になりましたが、せっかく声を上げても刺激的なフレーズだけがクローズアップされ、男女の意見対立的な構図で終わってしまいました。

 たしかに「日本死ね」というドキッとする言葉はコピーとして面白く、あのくらいインパクトがないと見向きもされないでしょう。しかし注目度が高いうちに男女が一丸となって「保育園制度を変えろ」という動きに持ち込めていたら、状況はもっと変わっていた可能性があります。女性一人ひとりが自分の意見を持ち、話し合える仲間を増やし、そこに共感してくれる男性を上手に巻き込むことです。

 これから様々な分野で仕事のAI化が進むのは避けられませんが、おそらく絶対にAI化されないであろう分野は、接客や介護など、現在女性が担っている人間性やコミュニケーションを重んじる分野の仕事と言われています。というのも、相手の気分や反応を見て気持ちをくみ取り、欲しいものを提案するという作業はAIには難しい。むしろ人間の状況判断よりも正確にビッグデータを集められるマネージメント分野の方がAIに取って代わられる可能性がある。

 いかに女性の労働評価軸を変えていくかが、社会の変化と共に求められているように思います。

(記事提供:Qreator Agent)