慶應塾長選の不可解、なぜ教職員投票2位候補に決まったのか

 韓国の大統領選で革新系の文在寅が当選した。フランスは二大政党を否定した中道のマクロン。米国では型破りのトランプが権力を握った。世界のあちこちで、潮流に変化が起きている。

 慶應義塾の塾長選は、教職員による投票で元経済学部長の細田衛士教授が最高得票を得た。ところが塾長を決める評議員会は得票2位の元文学部長・長谷山彰教授を選んだ。

 得票1位を塾長にするという慣例を破り、なぜ2位を塾長にしたのか。不透明な選考過程への違和感が学内に広がっている。

 新学長になる長谷山氏は、清家篤塾長を8年間、常任理事として支えた№2だ。学内政治から距離を置く細田氏に得票が集まったのは「執行部への批判票」とも見られている。それが評議員会でひっくり返った。慶應に何が起きているのか。

教職員投票1位の候補を
評議員会が追認するのが慣例

 塾長は、3つの選考過程を経て、約1ヵ月かけて選ばれる。最初の関門は10学部、小中高、職員の12職場がそれぞれ2人の候補者を選ぶ(今年は4月4日まで)。延べ24人が選ばれ、重複して推薦を受けた分を除く19人が今回、候補者になった。それぞれが所信表明し、投票に臨む。職場代表の推薦委員450人が日曜日の三田キャンパスに集まり、最初の投票で5人を選び、その中から3人に絞って評議員会に推薦した。

 4月16日に行われた投票(3名まで複数連記が可能)は、細田教授230票、長谷山教授217票、医学部長の岡野栄之教授170票。

 20日の臨時評議員会は紛糾した。議長である岩沙弘道・三井不動産会長は「塾長銓衡(せんこう)委員会は長谷山氏を選んだ」と報告、議論もないまま「長谷山候補を塾長とすることにご異議は…」と、いきなり拍手による承認を求めた。拍手の中で「異議あり」の声があちこちから上がった。

 真っ先に発言したのは附属中学の宮内完二教諭だった。