“地上のパイロット”JAL運航管理者に学ぶ「ゲンバ調整」の極意ナショナルフラッグ・キャリアを支えるのはパイロットだけではない。「地上のパイロット」としてJALの飛行機の安心・安全を縁の下で支える「運航管理者」には、巧みな「ゲンバ調整力」が求められる
Photo by Yukiko Yasuda

“地上のパイロット”とも呼ばれる“運航管理者”という仕事をご存じだろうか。飛行機の運航計画を立て、地上から飛行機を支援する仕事のことだ。飛行機操縦の資格は持たないが、操縦のプロであるパイロットに指示を出す立場でもある。パイロットとの意見の擦り合わせは日常的だというが、多くの乗客を乗せて日々大空を飛ぶ飛行機の運航計画をスピーディかつ適切に決める責任は重大だ。どのようにして最善策を探っているのか。仕事に必要なコミュニケーション力、調整力、決断力の磨き方は、世のビジネスパーソンにとっても参考になるはずだ。JAL運航管理者の知られざる仕事に迫る。

JALの飛行機を縁の下で支える
“運航管理者”の知られざる仕事

 航空業界に詳しくない限り、“運航管理者”(ディスパッチャー)を知る人は少ないだろう。しかし、運航管理者なしには飛行機を飛ばすことができないほど(※ヨーロッパなどでは異なる)重要な役割を担っている。

 運航管理者は、飛行機の“飛行計画”を作成し、飛び立った飛行機の安全運航を見守り、支援することが主な仕事だ。飛んでいる飛行機に対して地上から指示を出すことから“地上のパイロット”とも呼ばれている。

「運航管理の仕事は、日勤と夜勤の2交代制です。365日24時間、飛行機が飛んでいる限り、誰かが運航管理の仕事をしています」

 こう語るのは、JALのオペレーションコントロールセンター OCC運航管理室第4グループの齋藤真彦さん(34)だ。